【最新技術2020】ハイプサイクルで読み解く超重要テクノロジー5選【解説】

こんにちは、若山(@naoki_wakayama_)です。

今回は、ガートナー・ジャパンの先端テクノロジーのハイプサイクル2019を用いて、2020年以降革命を起こすであろう注目の最新テクノロジー5選を詳しく解説します。

ハイプサイクルとは?

テクノロジーのハイプサイクルとは、ガートナージャパンさんが1995年以降毎年公開されているもので、先端的なテクノロジーに対する人々の期待度の変化を表すグラフです。

期待度を時間軸で見ることができるので、
・身近に活用されているテクノロジーにはどんなものがあるか?
・どういったテクノロジーが今最も注目されているのか?
・これからどんなテクノロジーが流行るのか?
といったことが読み取れます。

「黎明期〜生産の安定期」 までの細かい流れは下記を参照ください。

黎明期: 潜在的技術革新によって幕が開きます。初期の概念実証 (POC) にまつわる話やメディア報道によって、大きな注目が集まります。多くの場合、使用可能な製品は存在せず、実用化の可能性は証明されていません。

「過度な期待」のピーク期: 初期の宣伝では、数多くのサクセスストーリーが紹介されますが、失敗を伴うものも少なくありません。行動を起こす企業もありますが、多くはありません。

幻滅期: 実験や実装で成果が出ないため、関心は薄れます。テクノロジの創造者らは再編されるか失敗します。生き残ったプロバイダーが早期採用者の満足のいくように自社製品を改善した場合に限り、投資は継続します。

啓蒙活動期:テクノロジが企業にどのようなメリットをもたらすのかを示す具体的な事例が増え始め、理解が広まります。第2世代と第3世代の製品が、テクノロジ・プロバイダーから登場します。パイロットに資金提供する企業が増えます。ただし、保守的な企業は慎重なままです。

生産性の安定期: 主流採用が始まります。プロバイダーの実行存続性を評価する基準がより明確に定義されます。テクノロジの適用可能な範囲と関連性が広がり、投資は確実に回収されつつあります。

今回は、このハイプサイクルの2019年版が公開されましたので、昨年のハイプサイクルと比較して、特に重要なテクノロジー5選を取り上げていきたいと思います。

テクノロジーのハイプサイクル2019

まず、2019年版のハイプサイクルはこちらです。

【引用】ガートナー:先端テクノロジーのハイプサイクル2019
https://www.gartner.com/jp/newsroom/press-releases/pr-20190830

全部で29種類のテクノロジーが並んでいます。

まず、注目していただきたいのは、「”過度な期待”のピーク期」にあるテクノロジーです。
5G、AI PaaS、エッジ・アナリティクス、自律走行(レベル5)、低軌道衛星システムなどがありますね。

とくに印象的なのは「5G」ではないでしょうか。
5Gは今メディアでも毎日のように取り上げられていますし、なんとなくすごいイメージを持っている方も多いんじゃないかと思います。

ですが、このハイプサイクルの頂点にあるということは、まさに”過度な期待”を浴びているということですので、意外と世間が思っているほど5Gで変えられることは少なかったりします。

2018年との比較

2019年版だけを見ても、世の中にどんな変化があったのかは読み取れないので、昨年版と比較してみてみましょう。

【引用】ガートナー:先端テクノロジーのハイプサイクル
https://www.gartner.com/jp/newsroom/press-releases/pr-20190830

いかがでしょうか。
かなり数が多いので、特に注目しておきたい項目に色を付けておきました。
(同色の項目は関連項目です。)

昨年からの大きな変化は下記の5つです。

  1. 5Gが黎明期からピーク期に突入。国内商用サービス開始にむけていよいよ本格化
  2. AI関連のテクノロジーが細分化され、エッジAI、説明可能なAI、感情AIなどが黎明期~ピーク期に突入
  3. ブロックチェーンが安定期を超え、代わりに非中央集権Web(Web3.0)が黎明期に突入
  4. 拡張現実(AR)や複合現実(MR)が安定期を超え、代わりにARクラウドが黎明期に突入
  5. IoTプラットフォームが安定期を超え、「IoT」という言葉が一般になじみ始める

注目のテクノロジー5選

昨年からの5つの変化をベースに、特に重要なテクノロジーを5つピックアップして具体的な解説をしていきたいと思います。

今回取り上げる5つはこちら。

以上5つです。

キーワードを見て、ぱっと説明できるものは何個くらいあるでしょうか。
「なんとなく分かりそうだけど分からない・・・」、そんな項目が多いんじゃないかと思います。

では、早速行きましょう。

5G(第5世代移動通信システム)

最初は5Gです。

5Gとは、第五世代移動通信システムのことで、今皆さんが使っている4G(LTE)の次の世代のモバイルネットワークです。

ポイントは、これまでの進化では「通信速度が速くなる」というところが主な発展内容でしたが、5Gではそれに加えて「多接続」、「低遅延」というような特徴が加わることです。

これによって、通信の活用手段が単なるコミュニケーションだけではなく、自動運転、遠隔医療など産業分野を中心に格段に広がるということです。

より具体的な内容については、下記の動画で詳しく解説していますので、5Gをゼロからしっかり押さえたい方は是非動画をご覧ください。

先ほど触れたように5Gは過度な期待のピーク期に突入しているので、2020年段階で何ができて何ができないかに注目して見ていただけると良いと思います。

エッジAI

続いては、エッジAIです。

こちらは先ほどの5Gとの関連性も深く、今後ますます重要になっていくテクノロジーです。

エッジAIを理解するためには、まずはエッジコンピューティングの理解が不可欠です。
まずはこちらの図をご覧ください。

これは、クラウドコンピューティング(一般には単にクラウドと言われます。)とエッジコンピューティングを比較した図です。

現在、皆さんがスマートフォン等で日常的に使っているアプリは、ほとんど左側のクラウドコンピューティングの形式を取っています。

スマートスピーカーのAlexaを例に出して考えてみましょう。

例えば、家にあるAlexaに「アレクサ、明日の天気は?」と聞くと、Alexaは「明日の天気は?」という音声情報を収集して、インターネットを通してクラウド上(AmazonのIaaS基盤であるAWS)にその情報をもっていきます。

そして、クラウド(AWS)上で今まで培った豊富な学習データをもとに、「明日の天気は?」という音声情報を言語として処理し、さらには「明日の天気」の情報を検索・抽出して答えを導き出します。

最終的に、導き出された答え(仮に「晴れ」としましょう。)をインターネットを介してスマートスピーカーまで運び、音声情報として「明日の天気は、晴れです。」と発します。

これがクラウドコンピューティングにおける経路ですが、 実はこの形式だと2つの問題があります。

1つは、全てがクラウドに送信されてしまうので、セキュリティ上の懸念があること。

全てがAmazonのクラウドに送信されているということは事実上全ての情報をAmazonが所有しているということです。
ならば、普段の何気ない会話ももしかしたら盗聴されているかも?というような気もしますよね。
実際そんなことはないと思いますが、海外ではよくAlexaの盗聴問題が話題に上がっていたりします。

そしてもう一つは、遅延の問題です。

自宅のAlexaに話かけて回答を得るまでの時間なんてせいぜい数秒だと思うので、日常的にはデータがどんな経路で伝達されているかなんて考えることはないと思いますが、実はデバイスからクラウドに到達するまでには非常に長い道のりがあります。

下の図を見てください。

この図にはデータの伝達においてデバイスからクラウドまでの中継地点がそれぞれ描かれています。

いかがでしょうか。

とても色々な中継地点を通っていますよね。
このようにデバイスからクラウドまでの道のりは想像以上に長くなっており、データの容量が大きければ大きいほどこの長い道のりを通るのは大変になります。
つまり、「遅延」の原因になるわけですね。

そこででてくるのがエッジコンピューティングという考え方です。

エッジコンピューティングとは、このデータの伝達距離を短縮するために、もっとデバイスに近いところで処理をしてしまおうという考え方です。

代表的な方法が右の図のようにインターネットの手前にある通信事業者の基地局など(ネットワークエッジ)で処理をする方法です。

ここまでなんとなく理解できたでしょうか。

ここまでわかればエッジAIは簡単です。

単純に、エッジコンピューティングの形式でエッジにAIの機能を持たせようというのがエッジAIです。
先ほどのAlexaの事例で「明日の天気は?」という音声情報をクラウドまで運ばずにエッジで自然言語処理して「明日の天気は晴れです。」と回答してくれればエッジAIです。

こうすることで、すべての情報がクラウドに送らずに済むのでセキュリティのリスクも軽減でき、低遅延性を担保できます。

エッジコンピューティングにもう少し深く知りたい方は下記の動画をご覧ください。

軽貨物輸送ドローン

続いては軽貨物輸送ドローンです。

これは比較的イメージしやすいテクノロジーだと思います。

ドローンを使って無人でスピーディーに荷物を配達しようという試みです。

ここでは、軽貨物輸送ドローンの実用例を2つ紹介しましょう。

Amazon Prime Air

<引用> engadget: 「ドローン配送」ついに商用化、Amazonが発表(西田宗千佳)
https://japanese.engadget.com/2019/06/05/amazon/

一つ目は、Amazonのドローン配達サービス「Amazon Prime Air」です。

今Amazonで販売されている商品のうち、「5ポンド(約2.3kg)以内の荷物を15マイル(約24km)以内の範囲で30分以内に配達する」というものです。

配達のイメージは動画を見るとわかりやすいと思います。


こちらはすでに商用化の目途が立っており、数カ月以内に商用サービスが始めるそうです。

僕も毎週のようにAmazonで買い物をしますが、ドローンが30分で配達してくれるとなれば、いよいよスーパーやドラックストアに行くことすらなくなってしまいそうです。

Uber Air

<引用> Gigazine: ドローンでマクドナルドのハンバーガーを配達するテストをUberが実施
https://gigazine.net/news/20190617-uber-drone-delivery-mcdonalds/

二つ目は、Uberのドローン配達サービス「Uber Air」です。

こちらは、今日本でも急速に拡大しているUber Eatsにおける取組みで、マクドナルドと連携してポテトやハンバーガーの配達実験をしています。

こちらはまだフィールドテストのフェーズですが、実用化されるとこれまで21分かかっていた1.5マイルの配達がわずか7分で行えるようになるそうです。

Uber Eatsで稼ぐ人も増えてきているなか、ドローン配達が商用化されたら、彼らの稼ぎが失われてしまいそうですが、ユーザーにとっては非常に楽しみなサービスであります。

ARクラウド

<引用> XR-HUB【3分で分かる!】AR Cloudの概念から仕組み・応用事例まで解説!
https://xr-hub.com/archives/1123

4つ目の重要テクノロジーはARクラウドです。

これは、ARをより便利に活用するために欠かせない技術となります。

一言でいうなれば、「ARコンテンツをユーザー同士で共有『リアルタイム空間マップ情報』」です。

現在のARというのは、リアルな空間に3Dのオブジェクトを配置したりすることはできますが、それを現実の位置情報と合わせて保存したり、複数人で共有したりということができません。
(正確には、一部の限定的な場面でしかできません。)

これを全世界の3次元の位置情報と連携し、世界中のどこにでも自由にオブジェクトを配置してそれを保存したり、だれかと共有したりできるようにするテクノロジーがARクラウドです。

つまりはARとリアル空間をつなげるテクノロジーですね。
ARクラウドによって世界中が巨大な3次元キャンパスになり、あらゆる人が空間上に自由にペイントできるようになります。

ちょうどGoogleのARプラットフォームを使った「Mark AR」というアプリが近いことを実現しようとしています。
Mark ARのコンセプトムービーがとてもわかりやすいのでよかったらご覧ください。


ARは5G時代のスタンダードになるテクノロジーだと思うので、ARクラウドの発展はまさに新しい時代の幕開けといえるのではないかと思います。

非中央集権Web

最後は、非中央集権Webです。
これはWeb3.0というものと同一と思ってください。

Web3.0という言葉からわかるように、実は私たちが利用しているWebというのも今は第二世代(Web2.0)となっていて、Web1.0から進化したものを使っています。

Web1.0というのは、インターネット時代の幕開けで、だれもがインターネットで簡単に情報を集めることがなった時代です。

ですが、このころは情報発信のメディアはホームページが中心で、かつ今のように技術的な知識なしで簡単に開設できるようなものではなかったので、あくまで情報発信は一部の知識のある人達だけに限定されていました。

そこから、SNSが急速に普及し、だれでも簡単にメディアを作って情報発信できる時代になりました。これがWeb2.0です。

今のインターネット環境では、通信環境さえあれば情報はいくらでも探せるし、自分で発信し始めれば個人でも大金を稼げるチャンスがあります。
とても便利な時代になったなと感じますが、一方でWeb2.0には決定的な問題があります。

それが、”中央集権化”です。

今、皆さんの日々のメールや旅行の写真、その他の個人情報などはどこに保存され、だれが保管しているでしょうか。

GAFA(Google、Amazon、Facebook、Apple)などの一部の巨大IT企業ですよね。

僕も毎日大量のデータをGoolgeフォトやGmailに保存しています。
つまり大切なデータをGoogle様に集めてしまっています。

これが中央集権化というもので、Web2.0では便利な共通プラットフォームが普及したおかげで、巨大IT企業がデータを独占する構図になってしまいました。

こうすると、先ほどのエッジコンピューティングの例にもあったように、セキュリティ的な懸念が高まります。

これを分散して非中央集権化しようというのがWeb3.0です。

下の図を見て下さい。

<引用> ALIS: 【ALISの取説】5-2 Web3.0への招待
https://alis.to/mozk/articles/aEOLOXVyve6v

これまでは、データを保管・共有するためには仲介者が絶対的に必要でした。

なぜなら、仲介者が存在しない二者間のやりとりでは、片方が「今データを送りました。」と言っても、もう片方が「届いてません。」といえば、どちらが正しいか証明する方法がありません。

どちらかが悪意を持ってうそをついていてもそれを証明できないのです。
もし金銭が絡む取引であれば詐欺が横行してしまいます。

ですので、金融機関や巨大IT企業、その他の仲介プラットフォームというのは、欠かせない存在でした。

しかし、今ではこの仲介者をなくしてデータのやり取りを中立な立場で正確に記録できるテクノロジーが登場しました。

ブロックチェーンです。

ブロックチェーンというと仮想通貨を思い浮かべる方が多いと思いますが、ブロックチェーンというのは仮想通貨に関わらずこのデータのやりとりを鎖のように連続的に記録し、不正なく二者間のやりとりを可能にするものです。

ブロックチェーンについての詳しい解説はここでは割愛しますが、詳しく知りたい方は下記の動画をご覧ください。ものすごくわかりやすいです。


このブロックチェーンを活用して、仲介者のないWebの世界を作り上げ、非中央集権化を実現するのが「Web3.0」です。

このブロックチェーンを活用して、仲介者のないWebの世界を作り上げ、非中央集権化を実現するのが「Web3.0」です。

あらゆる取引において手数料がなくなり、価値のあるコンテンツを作れる人だけが資産を増やしていく時代になっていくでしょう。

ここらへんのWeb3.0によるマーケットの変化については面白い話が色々あるので、また記事や動画で解説しようと思います。

まとめ

最後に、ここまで解説した5つのテクノロジーをまとめます。

  1. 5G
    第5世代移動通信システム。高速大容量・低遅延・多接続により産業向けの利用が可能になる。
  2. エッジAI
    エッジで処理するAI。セキュリティの懸念払拭や低遅延性の実現に高い効果あり。
  3. 軽貨物輸送ドローン
    ドローンによる無人配達。AmazonやUberが商用化に向けて取り組み中。
  4. ARクラウド
    ARコンテンツをリアル空間と連携してユーザー同士で保存・共有できるようにするリアルタイム空間マップ情報
  5. 非中央集権Web
    ブロックチェーンによって実現する仲介者が存在しないWebの世界。個人の時代をますます加速する。

記事全体の内容について動画でも詳しく解説しているので合わせてご覧ください。

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ABOUTこの記事をかいた人

『仕事の究極のエンターテイメント化』の実現のため仕事術を発信 / NTTドコモ エバンジェリスト×副業マーケター / 金沢大学機械工×学生起業 → DOCOMO×フリーランス / インサイドセールス立ち上げ / 講演分野は5G・XR・RPA・働き方改革・B2Bマーケなど